4. 結 論

本研究は、国内大学トップレベルの12試合を標本にして、ラグビーにおけるオールメンラインアウトの防御戦術に ついて実証的な研究を行おうとするものであった。その結果、オールメンラインアウトには2つのユニットで相手スロー に競りに行く戦術、3つのユニットで相手スローに競りに行く戦術、相手スローには競りに行かず次のモールドライブに備える 戦術の3つがあり、さらにそれぞれの戦術には複数の異なる防御システムがあることがわかった。

使用頻度を調べると、「サポーター・ジャンパー・サポーター」の3人ユニットを前方から2つ並べた3−3−1のシステムが 特に使用頻度が高いことが認められた。しかし、自陣の防御地域に限定すると、相手スローに競らずに次のモールドライブに備える 戦術の使用頻度が高かった。他の防御システムはいずれも使用頻度が低かった。

総ボール獲得率と良質ボール供与率の観点から各防御戦術の有効性を実証的に検討した結果、特に使用頻度の高かった3−3−1の システムは一定の効果があることが認められたが、列の両端部にボールが投げられた時に弱点があることが示唆された。 相手スローに競りに行く他の防御システムについては、例数が少なかったため本研究の分析結果から有効性を論議することは 困難であった。したがって、この点に関しては今後の研究が待たれる。相手スローに競らずにモールドライブに備える防御戦術に 関しては、相手にボールを与えた後の防御で高いパフォーマンスが達成されているとは言えず、十分な有効性が認められなかった。



1)ここで、Th(Throwerの略)は防御ユニットの一員としてスローワー役のプレーヤーが参加することを意味し、同様にSH(Scrum Halfの略)は防御ユニットの一員としてスクラムハーフ役のプレーヤーが参加することを意味する。

引用・参考文献/URL

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會田 宏(1994),ボールゲームにおける戦術の発達に関する研究,スポーツ運動学研究,7:25-32

2.

村上晃一(2002),MATCH REPORT,ラグビーマガジン,31(3):28-31

3.

中川 昭(2002),ラグビーのラインアウトに関する近年のルール変更とプレーの変化の相互作用,トレーニング科学,13(3):137-148

4.

中川 昭・松村 径(1998),ラグビーにおけるPKからの攻撃戦術に関する研究−国内大学トップレベルのゲーム分析から−,スポーツ運動学研究,11:25-37