1. 研 究 目 的
  ラグビーにおいてラインアウトはゲーム再開時に行われるボール争奪プレーの1つで、近年、非常に大きな変化を遂げたプレーの1つである。これは、中川3)の研究で示されているように、ルールの変更とサポーティングプレーの発達に因るところが大きく、その結果として、攻撃側(スロー側)が良質ボールを直接獲得する割合が飛躍的に向上した。

  しかし、どの球技でもそうであるように、攻撃のプレーが発達すれば、それに対抗する防御プレーが必ず発達するもので1)、現在ではラインアウトの防御側がサポーティングを活用して相手スローにプレッシャーをかけることが頻繁に行われるようになり、以前ほど攻撃側が簡単にボールを獲得できなくなってきている2)。例えば、2000年度の大学選手権決勝の試合では2回を除きいずれのラインアウトでも相手スローに対して積極的に防御が行われており、結果として、自スローのボール獲得率が勝者69%、敗者60%と、以前の分析結果3)4)に比べてかなり低い値になっていることがわかる。

  このように、現実の競技の場では、ラインアウトにおいて積極的な防御プレーがすでに広く実行されているが、ラインアウトの防御戦術についての研究はまだ緒についたばかりで、ほとんど何も明らかにされていない。そこで本研究は、研究の手始めとして、国内大学トップレベルの試合を取り上げ、オールメンのラインアウトではどのような防御戦術が、どの程度の頻度で実行されているかを明らかにすること、特定されたそれぞれの防御戦術でどの程度のパフォーマンスが達成されているかを明らかにし、それぞれの防御戦術の有効性を検討すること、の2つを目的として行われた。  

  本研究は国内の大学レベルという決して最高とは言えないレベルを対象としており、その意味からは限界があると言わなければならないが、ラインアウトの防御戦術に関する研究の現状を考えると、パイロット的研究として十分意義を有すると言えるであろう。また、本研究は、国内大学トップレベルの防御戦術の実態を明らかにすることによって、大学チームのコーチング現場に研究成果を直接役立てるという狙いもある。