| 3. 結 果 及 び 考 察 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 1)ラインアウトの人数別比率 分析対象となった全てのラインアウトについて人数別に頻数と割合を求めた結果が表2である。 この結果から、オールメン(7人)のラインアウトが最も数が多く半数以上を占めることが認められた。 このことは、ラインアウトの防御戦術を検討する際に、まずオールメンラインアウトから始めることが妥当であることを示すもの であると考えられる。
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| 2)オールメンラインアウトの防御戦術の種類 オールメンラインアウトの防御プレーを分析した結果、大きく次の3つの戦術を特定することができた。
![]() 動画1 3-3-1システム ![]() 動画2 3-1-3システム ![]() 動画3 Th2-3-2システム
次に、3つのユニットで防御する戦術としては次の6つの戦術が特定された(動画4〜9参照)。 ![]() 動画4 2-3-2システム ![]() 動画5 3-2-2システム ![]() 動画6 Th2-2-3システム ![]() 動画7 3-3-1SHシステム ![]() 動画8 2-2SH-3システム ![]() 動画9 Th2-3-2SHシステム
さらに、相手スローに競りに行かないで次のモールドライブに備える防御戦術としては次の2つの戦術が特定された。
3)各防御戦術の使用頻度 特定されたそれぞれの防御戦術の使用頻度を全地域トータルと地域別で示した結果が表3である。これを見ると、相手スローに防御をしなかったケースは1割もなく、現在の国内大学トップレベルではラインアウトで意図的な防御が行われることが普通であることがわかる。
防御戦術の種類ごとで使用頻度を見てみると、相手スローに直接競りに行く防御戦術が全体で7割強と 使用頻度が高いことが認められるが、自陣深く攻め込まれた地域5だけに限定すると、相手スローに競りに行かない で次のモールドライブに備える防御戦術が5割強の高い使用頻度を示していることがわかる。 相手スローに直接競りに行く防御戦術について、防御システムの種類ごとで使用頻度を見ると、2つのユニットで 防御する3-3-1のシステムが特に多いことがわかる。その他の防御システムについては、Th2-3-2SHのシステムの使用頻度 が若干多いことが認められるが、他のシステムはいずれもトータルで10例以下と頻度的には非常に少ないことが認められた。 そして、このような傾向は地域別に見ても同様であった。 4)各防御戦術の有効性 特定されたそれぞれの防御戦術について、総ボール獲得率と良質ボール供与率を示した結果が表4である。この表から、すべての防御戦術の中で特に数が多かった3-3-1の防御システムでは、3割弱で相手ボールを獲得しており、相手に良質ボールを与えている割合が5割弱であることがわかる。これをどのように評価するかは難しいところであるが、防御戦術としてそれほど低い水準のパフォーマンスではないと考えられる。
3-3-1の防御システムの有効性をさらに検討するために、スローの位置別に総ボール獲得率と良質ボール供与率を示した結果が表5である。オールメンのラインアウトでは2番ジャンパーを中心とした前部、4番ジャンパーを中心とした中央部、6番ジャンパーを中心とした後部の3箇所に潜在的なボール獲得部があるが、3-3-1のシステムではこれら3箇所の潜在的ボール獲得部を2つのユニットで防御しなければならない。したがって3-3-1のシステムでは、いずれの防御ユニットにおいてもジャンパーを2人でサポートできるという利点がある反面、両端の防御が手薄になる弱点があると考えられる。表5の結果でも、2番と6番にボールが投げられた場合に、達成されたパフォーマンスの水準が比較的低いことが認められ、このシステムの弱点を裏付ける結果が示されていると考えられる。
2つのユニットで防御する戦術には、他に3-1-3のシステムとTh2-3-2のシステムが特定されたが、例数が少ないために表4の結果から有効性を論じることは困難であった。しかし、これらの防御システムも2つのユニットで防御している限り、3-3-1の防御システムと同様の弱点を持っていると言えるであろう。 2つのユニットで防御する戦術の弱点を克服しようとした戦術が、次の3つのユニットで相手スローに競りに行く戦術である。この戦術を実行可能にするためには、ラインアウトに並んでいるプレーヤーが7人しかいないために何らかの戦術的工夫が必要となる。1つの工夫は、1人でジャンパーをサポートするプレーの導入であり、もう1つの工夫はラインアウトに並んでいるプレーヤー以外のプレーヤー、すなわちスローワーの位置にいるプレーヤーとスクラムハーフの位置にいるプレーヤーの活用である。 これらの戦術的工夫を取り入れた防御システムが、本研究では6種類特定された。これらの防御システムには、オールメンラインアウトにおける3箇所の潜在的ボール獲得部をすべて防御できるという強みと引き換えに、1人サポーティングは技術的・体力的に習熟が難しい、スローワーの位置にいるプレーヤーの使用はそのプレーヤーが後ろに動けないために防御ユニットの後方のスローに弱い、スクラムハーフの位置にいるプレーヤーの使用は反応動作が遅れる、というような弱点があることを理論的に導き出すことができる。しかし、本研究の分析ではいずれも例数が少なかったために、表4の結果に基づいて実証的見地から有効性を論じることは難しい。したがって、これらの防御システムがどの程度有効かに関しては、今後の研究を待たなければならない。 最後に、相手スローに競りに行かず次のモールドライブに備える戦術に関する表4の結果を見ると、総ボール獲得率と良質ボール供与率のいずれの観点からもパフォーマンスの水準が低いことが認められた。しかし、これはこの戦術の意図から言って当然の結果であるとも言えるので、次に、ボールを相手に与えた後の防御のパフォーマンスを調べた。その結果が表6である。この結果を見ると、ゲインライン突破(前進)阻止とボール奪回のいずれの点からもこの防御戦術の成功率は決して高いとは言えず、モールからボールが出た後の防御プレーを含めるとトライもおよそ2割(33回中7回)の頻度で奪われている。したがって、この防御戦術に関しては、ボールを取らせた後の防御パフォーマンスをもっと高める研究が必要であるとともに、一方で、自陣ゴール前においても積極的に相手スローに競りに行く防御戦術の研究が必要になってくるであろう。
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