系長からの体育系紹介とメッセージ

Message from the Provost

体育系長  藤井 範久

新たな教員組織としての「系」

筑波大学では、教育・研究・運営の全般にわたって一層の機能強化を図るために教育研究体制の改革を実施し、本学独自の新たな教員組織として「系」を平成23年10月に設置しました。新たな教員組織である「系」は、教育と研究の双方に基本的な責任を持ち、全学的な見地から、当該分野の発展および他の分野との連携・協力を総合的かつ計画的に推進するものと位置付けています。

体育系は大学全体で10ある「系」の一つであり、体育・スポーツ・健康について、自然科学から人文・社会科学におよぶ広範な分野と連携し、総合的に教育研究を推進する教員組織です。

教育活動

体育系には130名を超える多士多彩な教員が所属しており、学士、修士、博士のそれぞれの教育組織で教育を担っています。学士レベルでは、明治11年に創設された体操伝習所以来、約150年の伝統を持つ体育専門学群を有し、体育・スポーツ・健康の分野におけるリーダーの養成に日々努めています。

特に近年は、体育・スポーツ・健康分野における大学院教育を先導すべく、大学院プログラムの拡充を図ってきました。その結果、現在、修士(博士前期)レベルでは4つの学位プログラム・コースと鹿屋体育大学との共同専攻、博士(博士後期)レベルでは5つの学位プログラムと1つの鹿屋体育大学との共同専攻が稼働しています。この中には2つの英語プログラム(修士)が含まれており、グローバル人材の養成にも力を注いでいます。

体育系ではまた、多くの教員が体育スポーツ局における全学の教養課程体育を担っており、多様なスポーツ実践をとおして全学学生の「健やかな身体・豊かな心・逞しい精神」の育成に貢献しています。

以上のように、体育系は、体育・スポーツ・健康分野における我が国随一の総合的人材養成機関の機能を果たしており、今後も総合的人材養成機関としての機能を持続し発展させていきたいと考えています。

研究活動

研究活動については、3分野(体育・スポーツ学分野、健康体力学分野、コーチング学分野)・39研究領域を系内に形成し、体育・スポーツ・健康に関する基礎的・理論的研究ならびに応用的・実践的研究を推進しています。体育・スポーツ・健康の分野において、これほど広範な研究領域をカバーしている機関は世界でも稀であり、その研究手法や内容が非常に広範に及ぶところに体育系の大きな特色があります。

体育系では、平成27年7月に、新たな研究組織としてヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)を設置しました。このARIHHPでは、人間の統合的な身体活動能力に関する革新的な研究を推進するとともに、国内外の優れた研究者が参集し共同研究プロジェクトが次々と実施される世界水準の研究拠点の構築を目標としています。さらに共同利用・共同研究拠点として文部科学大臣によって認定され、令和4年からは正式に活動を開始しました。

一方で、平成22年には我が国で唯一のIOC公認 Centre for Olympic Research and Education (CORE)とスポーツR&Dコアを設置しており、それぞれオリンピック教育に関する理論的・実践的研究の推進ならびにエリート競技者支援のための研究開発プロジェクトの推進を行なっています。今後は、これら3つの研究組織の連携・統合を図りながら、系としての研究力を更に強化していきたいと考えています。

競技活動

多くの教員が競技活動に携わり、世界レベル、全国レベルの成果を上げていることは他の系にはない体育系独自の大きな特長です。筑波大学には我が国のルーツとも言える運動部が幾つか存在し、伝統ある優れた運動部が多数あります。これらの運動部の指導に当たっては、多くの私立大学のようにOB/OGや外部指導者に指導を委ねるのではなく、体育系の多くの教員が主体となり、自身の研究成果を還元させながら高度な指導を実践しています。

体育系における競技活動の第1の目標は、それぞれの運動部が我が国の学生スポーツ界でトップレベルの位置を占めることにあります。この面での近年の成果はめざましく、オリンピック/パラリンピック、ユニバーシアードなどの国際大会で活躍する学生を輩出しています。今後新たな入試方法の導入やアスリートへの支援策の充実を図り、更に大きな成果の達成を目指していきます。

社会貢献活動

社会貢献活動についても、体育系はこれまで大きな役割を果たしてきました。多くの教員が、体育・スポーツ・健康分野における総合的な研究成果を地域社会に還元し、ライフステージに応じた教育支援、生涯スポーツ推進支援、競技力向上支援に貢献するとともに、研究成果を活かす活動についても積極的に取り組んでいます。また、学会運営活動など学術面での社会的活動や競技団体役員など競技面での社会的活動についても指導的立場で大きな貢献を果たしています。体育系へ寄せられる社会からの大きな期待に応えるべく、これからも積極的に社会貢献活動を展開していきます。

今後に向けて

今後、体育系は、世界トップレベルの体育系組織の確立を目指し、教育、研究、競技、社会貢献の4本柱の更なる強化を図って参ります。これからの体育系の取組みに、ぜひ注目をお願いいたします。