ビタミン B6 / ビタミン B12

 ビタミン B6は「ピリドキシン」、ビタミン B12は「シアノコバラミン」とも言います。

 ビタミン B6糖質、脂質、たんぱく質の代謝、とくにたんぱく質の構成成分であるアミノ酸代謝の補酵素として、アミノ酸 (たんぱく質) からエネルギーを作り出す過程で必要です。また、皮膚の保護作用もあります。不足すると成長が遅延したり、皮膚炎、貧血、神経の過敏症などがおこるとされています。

 ビタミン B6は動物性食品・植物性食品のどちらにも比較的多く含まれていますが、とくにレバー、肉類、魚類に多く含まれています。

 ビタミン B12には抗貧血作用があります。また、成長促進、たんぱく質や遺伝子の成分である核酸合成にも関与しています。ビタミン B12は無機質 (ミネラル) のコバルトを含んでいるのが特徴です。不足すると悪性貧血をおこします。

 ビタミン B12は、多くの動物性食品に比較的多く含まれていますが、とくにレバー、貝類、肉類に多く、また、腸内で細菌によっても合成されます。


葉酸 / パントテン酸

 葉酸は、遺伝子の成分である核酸の合成やたんぱく質の構成成分のアミノ酸の代謝の補酵素として重要です。また、造血作用にも関与しています。不足すると、巨赤芽球貧血、白血球減少、舌炎、下痢などをおこします。食品中では、レバー、大豆、豆類などに比較的多く含まれています。

 パントテン酸は、糖質、脂質、たんぱく質の代謝、とくにこれら栄養素からのエネルギー産生課程に必要な補酵素として重要です。また、脂肪酸の合成・分解にも重要な役割を果たしています。不足すると、栄養障害、手足の激痛、頭痛などをおこします。多くの植物性食品に含まれており、とくに酵母に多く含まれます。この他レバー、芋類、卵にも比較的多く含まれています。パントテン酸は水に溶けやすく、酸にもアルカリにも不安定で、調理による損失が大きい栄養素です。


ビタミンC

アスコルビン酸」とも言います。

 ビタミンCは、たんぱく質のコラーゲン合成に必要です。また、たんぱく質の構成成分のアミノ酸の代謝、小腸での鉄の吸収の促進、副腎皮質ホルモンの合成促進、酸化防止作用などの働きがあります。不足すると壊血病、皮下出血、骨形成不全、成長不良などをおこすとされています。

 ビタミンCは、新鮮な野菜類 (ほうれん草、小松菜、にんじん等の緑黄色野菜) 、果物類 (いちご、みかん、かき、キウイフルーツなど) 、芋類 (さつまいも、じゃがいもなど) に多く含まれています。

 ビタミンCは水に溶けやすく、熱、酸、空気などにも不安定なため、調理や貯蔵による損失は大きいとされています。そのため摂取時の食品中のビタミンC量は食品の種類、温度、貯蔵法、調理法によって大きく異なります。


 水は、人の体を構成する成分として体内に最も多く含まれ、成人で体重の約 50〜65 % を占める。体内の水分量は脂肪量とは逆に男性が女性より多い。また、乳幼児は成人に比べ多く、加齢とともに減少する。体内の約 10 % の水分が失われると生命維持が難しくなり、約 20 % を失うと死に至る。

 水のはたらきは沢山あり、栄養素の消化、吸収された栄養素の体内運搬、老廃物の体外への排泄、体温調節などに必須である。通常の生活で、成人は一日にほぼ1500〜2000ml の水を食べ物・飲み物から摂取し、排泄している。この一日に摂取している水の量と、一日に尿や便、呼吸などにより排泄される水の量は、一般にバランスが保たれている。なお、汗を多くかいた場合にはその分の水分量を補給しなければならない。とくに、乳幼児は代謝が盛んな上に水分の代謝調節も未熟なこと、また高齢者は喉の渇きを感じにくくなっていることが多いので、とくに積極的に水分摂取を心がけることが大切である。


コレステロール

 脂質の一種。

 食事から摂取するほかに、体内では主に肝臓と小腸で、アセチルCoA (糖質などからエネルギーを産生するときの中間物質) から合成される。

 コレステロールは、体内では細胞膜の構成成分、脂肪の消化に欠かせない胆汁の成分、性ホルモンやプロビタミンDの材料など様々な重要な役割を担っている。体内の各組織では、このような様々な役割を果たすために、肝臓から各組織に血液によって運ばれており、血液中には常に約150〜200mg / 100mlのコレステロールが含まれている。しかし、この血液中の濃度が上昇し、その高い状態が続くと、コレステロールが動脈壁に侵入・沈着して動脈硬化の原因となる。

 コレステロールの多い食品はうなぎ、いか、魚卵などで、食べ過ぎには注意が必要。血中コレステロールが高い場合、その改善には、腸におけるコレステロール吸収を抑制する食物繊維が効果的である。


オリゴ糖

 本来、しょ糖 (砂糖の主成分) や乳糖 (牛乳中の糖) のような小さな分子量の糖のことをオリゴ糖 (少糖) という。 (米などに含まれるでん粉は大きな糖で多糖という)

 

 しかし近年では、人の体内で消化されずに吸収されない小さな分子量の糖をオリゴ糖と称している。種類は多く、天然物だけでなく、食品に含まれる一般の糖類 (消化・吸収される糖) から工業的につくられているものも多い。オリゴ糖に共通する性質は難消化性で、摂取したオリゴ糖が大腸に達すると、腸内細菌の働きで発酵し、食物繊維に似た作用を発揮して便秘予防に有効である。この他、低カロリー甘味料や血糖の急激な上昇を抑制する甘味料などとしても広く使われている。オリゴ糖は、このように人の体に有効な作用を持つので、機能性糖質と呼ばれることもある。主なものにパラチノース、ラクチュロース、フラクトオリゴ糖などがある。


キシリトール / エリスリトール

 キシリトール・エリスリトールは、ともに糖アルコールといわれる糖の一種で、天然には果実などに含まれている。近年では、菓子類などに甘味料として広く使われている。

 キシリトールは、口腔内細菌や歯垢による酸の産生を認めないことから虫歯予防に有効な甘味料として注目されている (デンタルガムなど) 。甘味は砂糖と同等で清涼感のあるさわやかな甘みを呈す。エネルギー量は砂糖の約7割で、やや低エネルギーである。また、血糖値を上昇させることのない甘味料なので、糖尿病患者の甘味料としても有効とされている。ただし、大量に摂取すると一過性に下痢を起こすので、注意が必要である。

 エリスリトールも同様の生理作用を持ち、砂糖よりやや甘味が低く冷涼感のある甘味を呈す。エネルギー量がほぼ 0 kcal/gであることから肥満、糖尿病患者の有効な甘味料として、注目されている。


リコピン / クリプトキサンチン

 リコピン・クリプトキサンチンともに、黄色・橙色・赤色を呈すカロテノイド (カロチノイド) という色素の一種。最も有名なカロテノイドはにんじんやほうれん草などの緑黄色野菜に含まれるカロチンで、リコピンやクリプトキサンチンはカロチンの仲間である。リコピンはトマト、すいか、柿などに含まれ、とくにトマトに多い。一方、クリプトキサンチンは卵やみかんに多い。クリプトキサンチンは体内でカロチンと同様にビタミンAに変換されるが、リコピンはビタミンAには変化しない。

 近年、カロテノイドが生活習慣病予防に有効であると注目されている。なかでもリコピン・クリプトキサンチンの発ガン抑制作用に大きな関心が寄せられている。とくに、生体防御因子として、老化の原因の一つとされている体内での活性酸素の発生を阻害する抗酸化作用 (カロチンより強力とされる) が期待されている。


ポリフェノール

 ポリフェノールは、糖質が一部変化した物質の総称で、植物の葉や花、茎などに多く含まれ、種類が非常に多い。

 ポリフェノールに属する仲間にはフラボノイド、アントシアン、カテキン (タンニン)、フェノールがあり、それぞれに種類が多い。フラボノイドは褐色やクリーム色の色素で、アントシアンは赤、ピンク、紫、青、黒系色素である。また、カテキン (タンニン) は、苦味・渋味・えぐ味などの呈味成分である。ハーブ類やスパイス類の香辛料には様々な種類のフェノール類が多く含まれている。

 近年、ポリフェノールの生理作用として、高い抗酸化性が示され、老化やがん・循環器疾患などの生活習慣病発症の原因の一つとされる体内での活性酸素の発生を抑制する因子として注目されている。また、免疫力の増強や抗アレルギー作用も期待されている。


アントシアン / イソフラボン

 アントシアンはポリフェノールの一種で、赤、ピンク、紫、青、黒系色素として、植物の葉、花、茎、果実に含まれる。ワインポリフェノールの成分の一つ(ワインには様々なポリフェノールが含まれる)で、赤ワインが心疾患の予防に有効だとされるのは、アントシアンの抗酸化作用によるされる。ぶどう、ブルーベリーをはじめ、りんご、いちごなど多くの果実に含まれている。

 

 イソフラボンは、ポリフェノール類のフラボノイドの一種で、大豆・大豆製品に多く含まれている。女性ホルモンに似た構造をしており、女性ホルモンに類似の働きがあるとされ、植物性ホルモンとして、近年、その作用が注目されている。代表的な生理作用に血中コレステロール低下作用による高脂血症予防、骨の破壊(骨塩溶出)抑制作用による骨粗鬆症予防がある。